自然保育で子どもたちを育ててきた麻衣子さん。そこで知った人たちが震災後、地方に移住していくのを見て、田舎暮らしに憧れを抱くようになりました。麻衣子さん自身も震災をきっかけに、これからは電気に頼らず、自然に囲まれた場所で自給自足に近い生活をしたいという思いが強くなりました。しかし、一方で、生活していくにはお金が必要という現実があります。今の生活に疑問を抱きつつも、移住について具体的に動くことなく、3年が過ぎました。
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香川に移住して憧れの田舎暮らし
西正志さん・麻衣子さん:高松市在住・2015年移住・30代
香川に移住して憧れの田舎暮らし
移住のきっかけは?
2014年3月、麻衣子さんと子どもたちは香川県を訪れました。ただの旅行のつもりでしたが、滞在した10日間で、麻衣子さんは移住を決心しました。香川で出会ったのは、麻衣子さんがいつかしたいと思っていた暮らしをすでにしている、好きなことを生業にしていきいきと暮らす人たちでした。豊かな自然も魅力的でした。訪れた時期は春。山菜が芽吹き、散歩がてら山でぜんまいやつくしを取り、宿に着いたらそれを料理して食べる。自然の恵みをそのまま頂くことに感動しました。埼玉に帰り、麻衣子さんが夫の正志さんに移住したいと伝えると、正志さんは、すぐに会社に退職の意思を伝えました。「移住するなら覚悟を決めないとできない」と思ったからです。行ったことのない香川に移住することに不安はありましたが、家族全員一緒に暮らすことが一番大事でした。
よかったこと・苦労したこと
2ヶ月の間に何度も香川に通って探しましたが、なかなか思い通りの家が見つからず、移住を諦めかけました。そんな時、香川で知り合った方が今暮らしている家の大家さんを紹介してくれて、思い描いていたとおりの山の中の自然に囲まれた古民家を借りることができました。おかげで家族揃って田舎暮らしを満喫しています。近所の方に畑を貸してもらって、みんなで畑を耕し、野菜を育てていますが、そのおいしさに感動します。香川に来てから、家族一緒に過ごす時間が増えたのが一番嬉しいことです。
香川で出会った人たちのおかげでこれからやりたいことが形になりはじめています。近くのお寺の住職さんと知り合い、お寺を自由に使わせて頂けることになり、先日、映画の自主上映会を開催しました。地元の人や県外から移住してきた人が集まってくれて、楽しい会になりました。今後、イベントはもちろん、ゲストハウスとして泊まれるようにして、地元の人や旅で訪れる人が集まり憩えるような交流の場を作っていきたいと思っています。また、移住の準備をする中で古民家鑑定士の資格を取ったので、それを活かして、移住したい人の手助けができたらいいなと思っています。
移住を考えている方へ
移住したいと思ったら移住してしまった方がいい。大事なのは「やるかやらないか」、そして「今を大事にする」こと。「いつか」と思っていても、その「いつか」はなかなか来ません。悩んだり、不安になったりすることも多いと思います。私達も移住すると決めたものの、実際に移住するまでの1年の間に何度も「今ならまだ引き返せる、移住するのをやめてしまおうか」と悩みました。どちらかが後ろ向きになったら、片方が励まして気持ちを盛り上げる、そんな風にして移住までの日々を過ごしました。東京で開催されていた香川県主催の移住セミナーにも足を運びました。香川県に移住した方々や県の職員の方の話を聞いたり、相談したりできましたし、同じように移住を考えている方と意見交換もできました。知ることで不安も少なくなります。機会があれば参加してみてはいかがでしょうか。
結局、いろいろ悩んでみても、実際にやってみないとわからないことの方が多いです。移住したら、移住前とまったく同じ暮らしをすることはないでしょう。これまでの生活と比べるから不安になるのです。今までの価値観を変えて、暮らしを新しく作っていく、そういう気持ちが大事だと思います。
2015年7月現在