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築100年以上、閉ざされて約30年の銭湯を「藝術喫茶清水温泉」として復活させた日高さん
日高 明道さん:多度津町在住・2018年移住・50代
築100年以上、閉ざされて約30年の銭湯を「藝術喫茶清水温泉」として復活させた日高さん
移住前の生活・移住のきっかけ
「移住」っていう表現はハードルが高いイメージですよね。もっとハードルを下げるべきだと思うんです。私自身は、縁あって、初めて多度津町の清水温泉界隈を訪れた際に「何でもできる、可能性に溢れた町だ!」と感じたんです。その直感のようなものに動かされてここまで来ました。長い時間をかけて移住先を探していたわけでもなくて、偶然訪れた場所で「ここで暮らして行きたい」と思ったんです。なので、ハードルはすごく低かったように思います。清水温泉に出会わなければ移住をしていないと思います。本当、清水温泉のすばらしさやあたたかい地域の方との出会いによって動かされた感じです。
築100年以上の銭湯清水温泉を「藝術喫茶清水温泉」に。
この清水温泉は立派な建物ですが、閉鎖されて30年以上の月日が流れていたんです。周りの道路も寂れた感じで。すごくもったいないと感じました。その気持ちをまず行動に移すことから始めました。近隣の道路の整備や清掃に真剣に取り組むことにより、地域に溶け込み、地域の皆さんに少しずつ受け入れていただけたかなと思います。そうして清水温泉を借りられることになりました。その後、約半年をかけて改修を行いました。この素晴らしい建物をどう活かそうか頭を悩ませましたが、やはり、できるだけ今あるものを残していきたいと考え、浴槽の中にテーブルを置いて個室空間のように作り上げたり、雨戸に脚をつけてテーブルに作り変えたり。楽しい仕掛けも考えつつ、外観や素材はできるだけ活かすように作り上げました。私の息子が画家なので、壁タイルに賑やかな絵も描いてもらって、古きよきものと現代アートの融合を図ることができたかなと思います。
開店から1年で約2万人が来場
ユニークな喫茶店が功を奏してか、年間で2万人の方が訪れてくださったんです。これって多度津町の人口と同じくらいなんです。でも、私がやっているのは次の世代にどうつないでいくかという、究極のきっかけ作りなんです。一時のことでなく、継続的な取り組みをしなくてはいけない。地域を挙げて飽きさせない仕掛け作りが必要です。
よく地域おこしや空き家の管理などは行政がやってくれるだろう、という声を聞きますが、古民家に関しては朽ちる速さを考えないといけないと思うんです。残された建物は生き物ですから、その生き物とどうやって向き合っていくのかを考えて動かなければいけない。スピード感を持って進めていかなければいけないと思います。
これからやっていきたいこと
ここ清水温泉の周りも手付かずの古民家があったのでリノベーションして、秋からはそこでチャレンジショップを開く予定です。小路を作って散策イベントもしたいし、作家さんたちの工房・アトリエも作りたいです。可能性がある町なので夢は膨らみます。
私は、『旅人が村人になりました』というキャッチフレーズが好きなんです。移住先で地域になじめるのか、風習についていけるのかと悩む方もいらっしゃると思うんですが、本気になればやれると私自身は思っています。どこに居ても「生きる力=(イコール)自分に負けない強さ」だと思うんです。そうやって自分の限界を決めずに、これからも自分自身もチャレンジしていきたいと思います。